歯医者さんのイスに座ると、まずはお口の中を「ツンツン」とされること、ありますよね。
スケーリング(歯石取り)の前に、歯科衛生士さんや歯科医師が細い針のような器具を使って歯や歯ぐきをなぞるように触ってくる、あの動作です。
ちょっとチクっとするような、くすぐったいような、時には「え、そこ痛い!」となることもあるこの工程。
何をされているのかよくわからず、「始まる前から痛いなんて…」と不安になってしまった経験がある方もいるかもしれません。
実はこのツンツンには、きちんとした名前と意味があります。
歯科用語では「エキスプローリング(exploring)」と呼ばれている処置です。
今回は、このエキスプローリングがどういうものなのか、なぜ必要なのか、痛いときはどうすればいいのかなどを、お話ししていこうと思います。
エキスプローリングは、「explore=探る、調べる」という言葉が元になっているように、お口の中の状態を詳しく「探る」処置です。
使われる器具は「探針(たんしん)」や「エキスプローラー」「プローブ」と呼ばれるもので、先端がとても細く、繊細な形をしています。
この細い器具を使って、歯の表面のザラつきや虫歯の穴、歯と歯ぐきのすき間の深さ(歯周ポケット)などを確認していきます。
見た目だけではわからないところを「手の感覚」で探る——
それが、エキスプローリングの最大の目的です。
私たちのお口の中はとても複雑で、ちょっとした段差や汚れの付着、炎症のサインなどは、肉眼では見つけにくいことがほとんど。
だからこそ、経験を積んだ歯科衛生士さんたちは、このツンツンで大切な情報を読み取っているのです。
「探るだけって言うけど、なんかチクチクするし、正直ちょっと痛い……」という声もよく耳にします。
たしかに、エキスプローリングが心地よいとはなかなか言えないかもしれません。
痛みの感じ方には個人差がありますが、例えば、歯ぐきが腫れている、知覚過敏がある、虫歯や歯周病が進行している、緊張していてお口に力が入っているなど、そんな状態であれば、痛みを感じることがあります。
歯ぐきに炎症があると、それだけで触るだけでもピリッと痛むことがありますし、知覚過敏のある歯では金属の先端が触れるだけで「キーン」とした刺激を感じてしまうこともあります。
しかし、そうした反応こそが、私たちのお口の中の「サイン」でもあるのです。
では、なぜそんな思いをしてまでエキスプローリングをするのか——。
それは、スケーリングを安全に、確実に行うためです。
歯石は見えるところだけに付いているわけではなく、歯ぐきの中や歯と歯の間など、隠れた場所にもついています。
それを取り除くには、まず「どこに、どれくらい、どういう状態で歯石などがあるのか」を正確に把握する必要があります。
たとえば、歯ぐきの中の深い場所に歯石がこびりついていたとしたら、ただ見た目だけでスケーリングしても不十分になってしまうかもしれません。
あるいは、無理に器具を入れてしまって歯ぐきを傷つけてしまうことも。
だからこそ、エキスプローリングで丁寧に状態を確認しながら、その人に合ったケアの計画を立てていくのです。
「必要な処置だってわかっても、やっぱり痛いのは苦手……」という気持ちも、もちろん自然なことです。そんなときは、ぜひ正直に伝えてみてください。
「ちょっと痛みやすいです」「今日は敏感かも」「緊張してます」と一言添えるだけで、歯科スタッフはあなたの様子をもっと丁寧に見守ってくれます。
圧を弱めたり、説明を加えたり、気遣いながら進めてくれることがほとんどです。
また、少しリラックスして肩の力を抜いてもらうだけで、刺激の感じ方が和らぐこともあります。
深呼吸しながら、「今、ちゃんとケアしてもらってるんだな」と少しだけ視点を変えてみるのもおすすめです。
エキスプローリングは、「探る」というより、「見えない不安を見つけて、なくすための第一歩」と言えるかもしれません。
お口の健康は、目に見えづらいからこそ、不安や疑問が積もりやすいものです。
しかし、その不安を少しでも早く、優しく取り除くために、歯科の現場ではこの「ツンツン」が丁寧に行われているのです。
次に歯医者さんであの細い器具が近づいてきたとき、ちょっとドキッとしながらも、「あ、今わたしのお口のこと、ちゃんと見てくれてるんだな」と思ってもらえたら。
それだけで、このエキスプローリングという処置が、少しでも安心につながればと願っています。
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